
進展度に差が見られるが、高度情報化の効果を量大限に引き出すためには、関連する産業全体として一定レベルの情報化を実現する必要がある。
また、業界団体等においても、それぞれ所掌する分野について高度情報化に関する研究の推進に取り組んでいるが、このまま個別団体等が独自に研究開発を進めた場合、将来的にその研究内容が連携のとれないものとなり、研究資源が限られる中で、研究効率が低下する結果となることが懸念される。
さらに、高度情報化による利益を最大限活用するためには、産業間又は企業間業務の情報化推進の参加者を増やすことにより、システム全体のコストパフォーマンスを向上させることが重要である。
従って、今後、造船・舶用工業の高度情報化をこれまで以上に効率的に進めていくためには、
?造船・舶用工業及びその関連する業界の各企業、団体等が効率よく情報化作業を進められる造船・舶用工業全体の高度情報化のためのグランドデザイン(基本構想)を描くと共に、
?団体等の情報化に関する活動を全般的に把握し、企画・調整し、
業務プロトコールの見直し等業界間の調整が必要な部分について円滑に行われるよう一定の方向性をとりまとめる場が必要である。
このため、運輸省海上技術安全局でけは「造船・舶用工業高度情報化推進委員会」を設けてし、これらの業務に当たることとする。なお、同委員会の事務局は、海上技術安全局の造船課、舶用工業課、技術課が行う。
3.造船、舶用工業の高度情報化に関する主要作業
造船・舶用工業の高度情報化に関する主要作業は大きく分けて以下の3項目である。
(1)造船・舶用工業における高度情報化の現実的なグランドデザインの作成
造船・舶用工業と業務上関連を有する各種産業(海運、鉄鋼、各種部品等)において進みつつある情報化の現状及び今後の見通し、及び高度情報化技術の現状等を考慮しつつ、中期的に実現可能となるであろう高度情報化の現実的なグランドデザインを作成する。
また、併せて、このグランドデザインを現実のものとするための基本的な枠組み、ルールを提示すべく、次の(2)及び(3)の作業も踏まえ、情報化の促進に関する法律に基づく連携指針の策定について検討する。
(2)取引方法等の合理化・標準化
既存の企業間・産業間の取引・業務の形態をそのままにして高度情報化を図っても、必ずしも高度情報化の十分なメリットは得られない。従って、取引環境、業務手続きを高度情報化に適合しやすくするように、現状の取引・業務実態を解析した上で、取引方法等の合理化・標準化を進める必要がある。
(3)情報化技術の研究(汎用技術のカスタマイズ及び不足する技術の研究開発)
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